血を巡らせるために、働いているわけじゃない
売上と利益は、会社にとっての血液だと思っています。
血が巡らなければ、体は動かない。利益が出なければ人を雇えず、給与も払えず、事業は続きません。だから売上をつくり、利益を残す。これは経営の前提です。
ただ、ふと思うことがあります。
血を巡らせることだけを目的にした人生は、どうもピンとこない。心臓を動かすために毎日を過ごしている、という人に私は会ったことがありません。血が巡るのは、その先で何かをするためです。
では、会社はどうでしょうか。
数字は、驚くほど簡単に目的になる
予算、KPI、前年比。数字は明確で、達成と未達がはっきりしています。だからこそ扱いやすく、いつのまにか手段から目的へと入れ替わります。
四半期の終盤、達成のために顧客にとって意味の薄い提案を押し込んだことはないでしょうか。報告のためだけの資料づくりに、半日を使ったことは。
数字が目的になった組織では、「なんのためにやっているんだろう」という問いが行き場を失います。目的のない作業は、どれだけ効率化しても実りません。土地が痩せていれば作物が育たないのと、同じです。
生き抜いた、その先
売上や利益を上げることは、事業を続けるための条件です。サバイブし続けることも、それ自体が尊い。厳しい時期を越えてきた経営者ほど、この重さを知っています。
ただ、それだけが目的なら。会社を経営する意味や理由は、どこにあるのだろうと考えます。
生き抜いた先に、どんな意味をつくるのか。経営者たるもの、そこから目をそらしてはいけない。私はそう思っています。
部署を預かる人にも、同じ問いがある
これは経営者だけの話ではありません。
チームや部署を預かる立場になると、数字を追うことが仕事の中心になります。それは役割として当然です。
一方で、メンバーはよく見ています。この数字はなんのためにあるのか。この仕事は誰を喜ばせるのか。そこに答えを持っている上司と、持っていない上司とでは、同じ目標でも景色がまるで変わります。
答えを持てないとき、仕事は静かに不毛になっていきます。
その血は、何のために巡っているか
AIやテクノロジーは、作業の時間を減らしてくれます。けれど、目的そのものは教えてくれません。生まれた時間を何に使うかは、人が決めることです。
あなたのチームが追いかけている数字は、何のために巡っている血でしょうか。そして、その先に、何をつくろうとしているでしょうか。
すぐに答えの出る問いではありません。それでも、この問いを持ったまま働く人と、手放してしまった人とでは、数年後に立っている場所が変わるのだと思います。